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常磐津 靭猿

歌詞を載せてみました。

能狂言の「うつぼ猿」を、舞踊化したものだそうですが、

能のは見た事がありません。勉強不足です。

靭(うつぼ)とは、

しなやか。やわらかくつよい。うつぼ。ゆぎ。矢を入れるための筒。

この筒に、猿の毛皮を貼り付けるようです。

能を歌舞伎化し、初春の気分を横溢した賑やかな浄瑠璃所作事。
女大名がやってきて、迷って来た猿を捕え、

飼主の猿曳きに売って呉れと頼むが承知しないので、射殺そうとしする、

猿曳きは是非なく承諾して、猿と別れの一節を唄うと、

猿は殺されるのも知らず、舟漕ぐ真似をして舞うので、女大名も哀れになり、

遂に命を助けてやり目出度く納まるという節です。猿廻しの愁嘆から、

女大名のクドキの軽快さに変る対照が眼目です。

舞踊会では、最近あまり観ませんが、

個人的に悲しい内容なのに、とても明るい感じが良いと思ってます。

♪時も一陽来福の 当りを願ふ弓始め 弓矢八幡大名の

頼ふだ人の代参に 向ひ町から又今年 返り申しの願事の

恋という字が花靭

♪春の野面の色含む ここ鳴瀧の花の出立ち

女大名 立帰り今を春辺と野の花の 色香争ふ源平の

それを隔てし播磨潟 都の内は穏かに袋に弓の八幡大名

奴橘平 頼うだお方は北面の 更科主水経春様 今日例年の弓始め

泰平の祈りの為 この鳴瀧の八幡宮へ 御名代の三芳野殿

お役目御苦労に存じまする

女大名 その御苦労は 橘平殿も互ひの事

もう御代参の役目仕舞うたからは 春の野もせを眺めながら

奴橘平 アァ是はしたり 寄らっしゃりまするな

寄らっしゃりまするな

狂言言葉もかたくなに

♪太郎冠者あるかいやい ハア御前にとうずくまる

こちは元より遣われものよ 色恋の道白川や 人目の関の袖褄ならで

網引餌引四ツ手引 山ぢや木をひく 麦の臼

まわらば廻れ伊勢同者 昔は車 今は銭 投げさんせ投げさんせ

縞さん紺さん花色さん コレコレコレ 小紋さん やてかんせと

引戻された アヽ長縄手 心も優な太郎冠者

奴橘平 道草のおどけは取置いてちっとも早うお館へ

女大名 イヤまだ 滅多には帰らぬはいな

奴橘平 そりや又何故で御座りますな

女大名 サア御主人経春様 例年の古例故 弓矢と靭を此様に持たせ

氏神様へ参らせ給へど 今年はいこう靭が損じた

戻りには靭になる皮を 調えて来いと言付って来たはいな

奴橘平 ハテ女中には 似合わぬ事を仰りつけで御座りますなア

♪話し半ばへ向ふより 手飼の小猿折よくも 二人が中へ駆込めば

奴橘平 ヤア何だと思ったらこりやア猿であったわへ

女大名 ヲヽ丁度な所へ放れ猿 この皮をとつて幸ひの靭に

奴橘平 イヤ大方 この猿にも主が御座りましょう

何でも猿遣などが放した猿と見へまする

女大名 そんなら其主に 断らいでは悪いかへ

奴橘平 何にせよ その主に早く逢いたいものだなア

♪隣り村から今日此村へ 罷り出でしは御贔屓の 風吹き送る花舞台

初心な顔に真っ赤いな 猿に曳かれて猿曳きが

酒のさの字のその暇に見失うたる猿丸の 迷子の迷子の太夫やい

迷子の迷子のお猿やいと 呼ぶ子鳥

紋もでっかい裏梅の 梅の林をうかれ来る

猿曳き オォ太夫此処に居たか こちへ御座れこちげござれ

奴橘平 そんならその猿の主は貴様か 何と物は相談じゃが

その猿を 譲ってはくれまいか

猿曳き イエイエ滅相な事を仰りまするな

太夫殿を手放しましては

明日から商売がなりませぬわえ

奴橘平 成程 もっともじゃが アァあちらにおわす女中は

更科主水経春様と云う お大名の御代参

今度大内の御遊に用いる靭に猿の皮が入用じゃ程に

何とこの方へ譲ってはくれまいか

猿曳き なんぼ 大内の御遊でも 是ばっかりは御免下さりませ

女大名 おおなと侮り 上様の上意を背きゃるからは仕様がある

♪素袍投かけ大名の威を張り詰めし弓張の矢先鋭く 立ちかかる

猿曳き お待ちなされて下さりませ 成程そうなるからは

猿の皮をあげませしょうが 射殺されましては

皮に傷がついて使い物にはなりますまい

ハテなんぞ良い・・・オ 良い事がござりまする

猿の一打と申して 急所が御座りますれば

皮にも傷の付かぬよう 見事打殺いてあげましょう

女大名 そんなら早う打殺いてサァ早う渡しゃぁ

猿曳き ハツ

♪かしこまつて御座ると立上り 又あるまじきお望みは

只今殿様殺せとある ならぬと言えば俺ともに 只一矢にて

射殺すと 引くに引れぬ強弓の 仰せ儚き今日の仕儀

猿曳き コレましよ
♪小猿の時から飼い置きて 朝夕の煙りさえ

そちが陰にて楽々と 暮せしものを情ない

猿曳き 畜生なれども よう聞けよ

♪せめて今度は人間に 生まれ変って来る様に 数え込んだる一節に

猿曳き ヱェさりとは さりとは

ヱイ エイ

♪又有ろかいなさんな 又あろかいな

是非なくなくも立上り 振り上げし鞭の下廻る小猿のいじらしさ

猿曳き アレアレ 御覧下さりませ

今打ち殺さるる鞭とも知らず船漕ぐ真似を 仕りまする

女大名 そんなら何といやる 今殺さるるも知らいで芸をするかや

奴橘平 畜生でさえ物を知るに 如何に終命なればとて

女大名 ものの哀れも顧みず どうしてこれが殺さりょう

命を助けた 連れて帰りゃ

猿曳き それは誠で御座りまするか

女大名 おいのう

猿曳き アレ嬉しや 嬉しや お礼に猿を舞せましょう

天下太平御武運長久御祈祷に 猿が参って能仕る

♪御知行も まさる目出度踊るが手元 面白や ハンヤコリヤコリャコリャ

黄金の数々積み揃へ 庭に黄金の花盛り 花実も栄ふ目出度さよ

さらば我らはお暇と行くを引きとめ
女大名 コレ待った
♪そりゃマァなんの事じゃいな 私しやお前に打込で 騙されて咲く

コレハ何じゃい 室の梅 笹鳴りかける鶯菜 なと納豆の朝毎に

飛んで行たや主の側 見れば見る程くっきりと 水際のたつ良い男

男やもめと南瓜の蔓は 何処までもさいかち原の中迄も

こちゃ お前とならば構やせぬ お前と夫婦になるならばお薯や

好きな団子を断物したがへへマ憎いかヘ ヱゝ女子には 何がなる

♪豊かの御代の一踊り

♪一の幣立て 二の幣立て 三に黒駒信濃通る 船頭殿こそゆうけんなれ

泊り泊りも 眺めつゝ千秋や万歳と俵を重ねて 面々に

楽しうなるこそ目出度けれ

そうに三人立かかり 届かぬ梢の綱渡り 三筋の霞猿曳や

橘花薫る花舞台 笑ひ興じて祝しける

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